交通事故の被害に遭った際に弁護士に相談すべき理由

交通事故により生じる損害のうち、大きな割合を占めるのが、事故で負った怪我に対する慰謝料（傷害慰謝料）です。傷害慰謝料の額は、入院期間や通院期間との関係で計算されますが、計算の基準は、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準の３つに分かれます。自賠責基準は、自賠責保険による支払いがなされる際に用いられる基準で、3つの中で一番安価な基準となっています。任意保険基準は、任意保険会社が損害の額を算定する際に用いる基準で、具体的な算出方法については非公開とされていますが、自賠責基準よりは少し高めという設定になっています。裁判所基準は、これまでの交通事故判例の積み重ねから導かれた基準であり、３つの基準の中で最も高額な基準となっています。このように複数の基準がある中で、我々弁護士は、これまで裁判所が認めてきた慰謝料額をもとに作成された裁判所基準こそが、最も適正な基準であると考え、裁判所基準を用いて傷害慰謝料の額を計算します。

しかし、保険会社は、これよりも低い基準を用いて交渉を行ってくるため、裁判所基準の存在を知らない被害者の方がそのまま示談を行うと、適正な示談金の額を受け取ることができません。また、裁判所基準の存在を知っていたとしても、被害者が直接保険会社と基準の適否について交渉するのは至難の業です。結果として、交渉がこじれ、裁判に移行してしまえば、莫大な時間と労力がかかることになります。したがって、より適正な慰謝料額の支払いをより速やかに受けることができるという点は、交通事故事案で弁護士に依頼するメリットの一つであると言えます。